症例報告 ―胃がん
提携医療機関クリニックでの症例報告 ―胃がん
免疫療法と抗がん剤治療の併用治療を受けることで、胃の潰瘍を伴ったがんの局部所見が消えた例
- 患者さま:
- 51歳 女性
- 診断名:
- 胃がん
- 免疫療法:
- 樹状細胞ワクチン療法、活性化Tリンパ球療法
- 標準治療との併用:
- 抗がん剤治療
- 免疫療法開始時期:
- 2012年9月
- 症例報告時期:
- 2012年12月現在
- 担当医師:
- 神戸ハーバーランド免疫療法クリニック 横川 潔
治療内容と経過
治療までの経緯|胃がんの診断を経て抗がん剤治療が開始
2012年5月 | 心窩部に違和感を感じる。 |
2012年6月 | 胃内視鏡検査にて胃角部胃がんと診断。 CT検査、更には審査腹腔鏡にて腹膜播種など胃壁を超えての病態が確認される。 |
2012年7月 | TS-1 ,シスプラチンによる抗がん剤治療を開始 |
2012年8月 | 神戸ハーバーランド免疫療法クリニックを受診。 |
胃がん局部に対して樹状細胞ワクチンを直接投与
胃角部のがん病巣によって摂取された食物の通過障害が起こることをまずは防ぎたく、胃角部自体へ樹状細胞ワクチンを投与し、それによって励起され、増殖したTリンパ球によるがん細胞への攻撃を期待し、2012年9月上旬から胃内視鏡下で毎回3×10^7個(3千万個)の樹状細胞ワクチンの胃がん局部への直接注入を開始し、11月上旬までに計5回施行しました。
樹状細胞ワクチン療法の効果を念押しするための活性化Tリンパ球療法を実施
その後、樹状細胞ワクチン療法の効果を念押しすべく、2012年11月中旬から2週毎に活性化Tリンパ球療法を行っており、本年2013年1月の検査所見などで更なる樹状細胞ワクチン療法の必要性を検討することになっています。 尚、抗がん剤による倦怠感、骨髄抑制が認められていますが、最も危惧される胃での通過障害を思わせる症状は全く訴えておられません。
担当医師から
胃癌への標準的抗がん剤治療である、シスプラチン、TS-1が治療当初から投与されており、今後も当分は余程に重篤な副作用に悩まされぬ限り、続行される筈です。しかしながら、いずれは抗がん剤による骨髄へのダメージが積み重なることで”免疫力”が低下し、却ってがんが悪化することも危惧されます。この点については、当院での免疫療法と”程よい抗がん剤投与”が併せて実践されることで、より良好な予後が本患者さまへもたらされることを期待して止みません。
上記写真は、本免疫療法の前後での胃角部胃癌の内視鏡像であり、本治療後(2012年11月)は治療前(2012年8月)に認められた潰瘍を伴った陥凹像が消えています。尚、併用抗がん剤は2012年7月から開始されています。